法人破産前の仕掛かり中の仕事への対処法について
当事務所では倒産関連の事案を数多く受けておりますが、仕掛かり中の事業や仕事の手じまいに関するご相談が絶えません。
いまこのページを閲覧中の多くの方も、気になっていることと思います。
このページでは、当事務所の弁護士が取り扱った事例の中から、皆様の参考になりそうなものをピックアップして紹介させていただきます。
(※守秘義務の観点から、実例そのものではありません。)
当事務所の弁護士が仕掛かり中の仕事問題に関して取り扱った事例
1.受任通知発送を遅らせ、従業員の信頼を守り、急ピッチ納品・引継を行った事例
業種:印刷業
取引先を100社ほどかかえ、商品カタログや社員手帳、会社案内などの印刷業務を30年以上も請け負っていたが、インターネットや電子データ等の普及に伴う印刷業界全体の不況に見舞われ、月末資金がショートする事態に陥った。
通常であれば、一方的に日にちを決めて、受任通知(取引先に弁護士が介入したことを知らせる文書)を送付するが、私は、従業員とも相談して、可能な限り円滑な引継ができるよう配慮し、受任通知発送の時期も遅らせた。
ちなみに、この会社では、基本的に各従業員が各取引先の担当者となっていた。従業員の再就職を考えた場合、当該従業員個人の体面や築き上げた信用を守らねばならない場合がある。
各従業員は、勤務先の破産という想定外の事態に直面したが、どうしても途中で放り出すわけにはいかない仕掛かり中の仕事を、急ピッチで完成させたり、納期にどうしても間に合わないものは下請け業者にうまく引き継いでもらったりすることにより、取引先への迷惑を最低限に留めることができた。
2.ご依頼者の矢面に立って関係各所への代弁を行い、事態が収束した事例
業種:建設業
私に相談した時点で複数の現場を抱えており、生き残り策も追求したが、資金余力がなく諦めざるをえなかった。
仕掛かり中の仕事に、それ以上手をつけられないこともよくある。
しかし、依頼者が思い悩む前に、早期に私が介入することにより、関係各所にできないものはできないとはっきりと代弁し、依頼者の楯となり、結果として事態収束をはかることができた。
3.工場建物の解体費用が捻出できない中、解体費用を地主負担で解決した事例
業種:製造業
この会社は、地主から借りた土地の上に建物を建て、工場として使用していた。破産すると、建物を収去して、土地を明け渡す必要があるが、解体には何百万もの費用を要することが見込まれていた。
こうした状況で、会社の資金繰りにも行き詰まり、進退窮まった社長が私に相談。
私は、いくつかの選択肢を吟味・検証した上、最終的には地主と交渉して、建物を残したままでの土地明け渡しに合意することに成功。解体費用は主として地主が負担することとなった。
借りている物件の明け渡し作業は、厳密には、仕掛かり中の仕事ではないが、同様の懸案事項となっていることが多いので紹介する。
4.展開中のブランドに着目し、民事再生を申し立てて自力再生を果たした事例
業種:小売業
どの各地の百貨店に店舗を展開していたが、資金繰りに窮するようになり、弁護士に相談。
当該会社の展開していたブランドに着目し、破産申立ではなく民事再生を申し立てて、生き残りを図りつつも、事業撤退も視野に入れることに。
最終的には、自力での再生を果たしたが、取引先との関係で軟着陸を図ったり、他社に営業譲渡等を行うことも十分ありえた。事業を続けることによって、選択肢が増えたケースである。
仕掛かり中の仕事の問題をどう解決するか、その大切な心得・アドバイス
知恵ある経営者であれば、今のような難局も、多角的視点で検証し、あらゆる手段を講じることによって、なんとかクリアしてきたことでしょう。
しかし、私のもとを訪れた依頼者のほとんどは、取引先に与えるダメージ、社内の大切な人間、多くの関係者に迷惑をかけることに思い悩み、客観的な視点で考えることがほぼ不可能な状態まで陥っていました。
その中でも特に「仕掛かり中の仕事」については、どうすべきか方針すら立たない方が殆どです。
そこで私がご相談者にアドバイスしていることは、「いったんご自身で考えることを諦めること」です。
仕掛かり中の仕事に関する解決策はいくらでも考えられるのですが、同時に良し悪しの主観的評価を加えると、どうしても前に進みません。
一番大切なのは、とにかく一歩でも前進すること。一旦考えることを諦めて、私のような専門家に委ねること。
歯が痛くて、それがいつまでも続く場合、最終的には歯医者に行きますよね。その場合、具体的にどのような治療方法がよいかとなどと考えますか?
治療方法はまず専門家が考えるべきことであり、必要なのは歯医者に行くことです。
いち早く相談していただくことこそが、数々の倒産事案を担当した私が本当に心から願うことです。
一人で悩まず、今すぐにでも私にご相談ください。
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