売掛先の突然の廃業、現預金ほぼ無しの状況から法人破産費用の捻出と再出発に至った事例

個人事業主として長年やってきたが、業務拡大を目指し法人化。

名だたる上場企業からも機械設備の製造・設置を受注するようになり、売上は飛躍的に伸びるが、個人事業主時代にはなかったコストが発生し、資金繰りに窮するようになる。

経営を行う中で、突如の売掛先廃業のため、売掛金約3000万円の回収ができない見込みとなったことから、当事務所代理人弁護士が順次回収を行った。

会社の事務所(賃借物件)を明け渡しに要する費用すらも捻出できない状況の中、弁護士介入により実質的には1円も出費することなく、早期の明け渡しを実現。

社長は、破産申立前に、持ち家(住宅ローン)の任意売却を試み、買主からリースバックを受けることに成功。

また、破産手続きで、億単位の保証債務の免責を受け、毎日の厳しい資金繰りから解放される。

社長自身の技術やノウハウ活かし、上場会社の技術顧問として雇用され再出発させる。

※当事例及び登場人物に関しまして
当ページでは、当事務所弁護士の経験に基づくストーリーでご紹介しておりますが、
守秘義務の関係から、あくまでフィクションとさせていただいており、また登場人物も架空人物として設定しております。

会社名:有限会社テクノアンドテクノ
代表者:平田太郎
ご年齢:55歳
業種:機械器具設置工事業
年商:1億円
資本金:300万円
従業員数:3人
負債総額: 2億円

業務拡大で個人事業主から法人化。資金回収スピードが遅く資金繰りが悪循環

テクノアンドテクノの平田社長は、大手製鉄会社の出身で、30歳で独立した。長らく個人事業主として稼働してきたが、平成17年に法人化させた。

個人事業主時代の業務内容は、機械・設備の設計業務であったり、機械が既に設置されている場所での工事がメインで、仕入れがほとんど発生せず、社長自らが動けばこなせる仕事だったために、特段経営に支障を来すことはなかった。

平田社長は、得意先からの要望も受けて、業務拡大を目指して法人化させることとし、従業員を3名雇った。

間もなくして、名だたる上場企業からも機械設備の製造・設置を受注するようになり、売上は飛躍的に伸びた。

しかし、テクノアンドテクノの行っていた業務は、請負が主であり、報酬を請求するためには、原則として仕事を完成させる必要があった。

完成させるために必要となる材料代や仕入れ費用・人件費等、個人事業主時代にはなかったコストが発生し、いずれも先出しを余儀なくされ、たちまち資金繰りに窮するようになってしまった。

代金支払条件に関しては、受注の際に、例えば工程に応じて前受金・中間金・最終残金を請求できるよう交渉しておく必要があるが、社長の明朗快活かつ気前の良い人柄のせいで、その点の交渉が十分になされておらず、気がつけばテクノアンドテクノにとって極めて不利な条件ばかりとなっていた。

結果として、仕事の依頼はひっきりなしにあるものの、引き受ければ引き受けるほど、資金繰りが苦しくなるといった悪循環に陥るようになるが、金融機関から運転資金を借り入れるなどして、なんとか資金繰りを行ってきた。

売掛先の突然の廃業、現預金ほぼ無しの状態から破産申立て完了

ある日、あてにしていた売掛金約3000万円の回収ができない見込みとなったことから、破産申立をせざるをえない状況となった。

しかし、会社には破産申立に必要となる現預金はほとんど存在しなかった。他方、突然の廃業だったために、売掛金で未回収のものも多く存した。

そのため、破産申立に先立ち、売掛金を回収する必要が生じた。任意に支払ってもらえない売掛先もおり、訴訟提起をするなどして、当事務所の弁護士が順次回収を行った。

また、会社の事務所は賃借物件であり、破産申立に先立って、早急に明け渡す必要があったところ、当時の会社はそれに要する費用すらも捻出できなかった。

代理人弁護士は、大家や廃棄物処理業者とも粘り強く交渉し、実質的には1円も出費することなく、早期の明け渡しを実現した。

会社には、まったく現預金がなかったので、申立費用を捻出したり、整理に伴う出費を回避したりするのに苦労した。

ただし、現預金はなくとも、売掛金が残っていれば、本ケースのように対処の余地がある。

通常30~45日で破産申立ては完了するが、本ケースでは売掛金の回収を先行させたため、半年ほど要した。

また、社長は持ち家(住宅ローン)を諸事情によりしばらくの間確保したかったので、破産申立前に任意売却を試み、買主からリースバックを受ける形をとり、結果として成功している。

当事件に対する当事務所弁護士の対応

・仕掛かり中の仕事を中断したことに伴う関係先との折衝。
なるべく関係先には迷惑をかけないよう、しかし会社として権利主張すべき点はきちんと主張する等、取引実務に即したバランス感覚や高度な法的判断が要求される。

・売掛金の回収(任意、訴訟)

・明け渡しを巡る大家や廃棄物処理業者との折衝

・退職した従業員からの問い合わせ一切

※基本的には弁護士がすべて代理人として処理をしており、社長自身が表に出て行く必要はなかった。それだけでも負担は相当低減されていると思われる。

誰も破産手続きに異を唱えることが無く、粛々と進行

債権者に対しては本当に申し訳ないことをしました、と口癖のように言い、真摯に反省されていたのが印象的であった。

そうした社長の人柄のせいか、誰もこの会社の破産手続に異を唱えることはなく、粛々と進められていった。

ご依頼者が得た一番の収穫「資金繰りからの開放」

日々の資金繰りに窮していた状態だったので、一番の収穫は、毎日の厳しい資金繰りから解放されたことだった。

また「億単位の保証債務の免責」を受け、再出発するにあたっての負担は極めて軽いものとなった。

子供が通学する学校との関係で、自宅の確保(一定期間だけ)にはこだわっていたが、それ以外には全く執着がなく、清々しさすら感じさせていた。

破産に向けての気持ちはずっと前向きな方だった。

ご自身の独自の技術やノウハウを活かし、上場会社の技術顧問として再出発

社長自身は長年個人事業主として商売をしてきただけあって、独自の技術やノウハウがあり、それらをフルに活かす形で、間を置かずに上場会社の技術顧問として雇用された。

その手に独自の技術やノウハウを有している方は、再出発しやすいということを実感した。

積極果敢にチャレンジした結果の法人破産は、尊敬に値する

この事件を通じて思ったのは、「企業者には再チャレンジする機会をぜひ与えて欲しい。」ということ。

日本では破産した後のリスタートが極めて厳しいという現実があるが、失敗を恐れて企業者が出てこないというのも極めて問題である。

行き詰まったら破産という手段をとり、そしてスムーズに再スタートを図る。

安易に破産することは絶対に避けねばならないが、積極果敢にチャレンジした結果の破産であれば、やむを得ない。

私は社長のこれまでの並々ならぬ努力とチェレンジ精神に敬意を表して、事件処理にあたっていった。

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